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『アップとルーズで伝える』 [授業]

 市の研究会で国語の研究授業を参観した。市の国語部のテーマは「論理的思考」である。
 参観したのは、「アップとルーズで伝える(光村4年)」の授業である。この説明文では、アップの画面、ルーズの画面について、それぞれ次のように書かれている。
「アップでとると、細かい部分の様子がよく分かります。」
「ルーズでとると、広いはんいの様子がよく分かります。」
 本時は、この説明文を学習し終えた子供たちが対象である。
 次の教材が示された。

 さむいさむい南きょくの冬は、あたりいちめん、氷のせかい。コウテイペンギンは、この氷の上でくらしています。
「どうぶつの赤ちゃん ペンギン」(金の星社より)

 発問は次である。

 この文章には、アップの写真が使われているでしょうか。ルーズの写真が使われているでしょうか。

 次の発言があった。

 「あたりいちめん」という言葉があるからルーズの写真が使われているはずである。

 この意見は成り立つか。一見、妥当なように思えるが、実は成り立たない。なぜか。発問は文章(ここでは段落)を対象にしているのであり、一文を対象にしているわけではないからである。
 例えば、この段落の文章が次のようになっていたらどうか。

 さむいさむい南きょくの冬は、あたりいちめん、氷のせかい。おや、私たちの目の前に、この氷の上でくらしているコウテイペンギンの親子があらわれましたよ。

 つまり、先の発問は2つのことを尋ねているのである。

1 この段落の中心文はどちらか。
2 中心文は、アップの文かルーズの文か。

 だから、前者の文章であればルーズの写真が使われているはずであり、後者の文章であればアップの写真が使われているはずなのである。
 「あたりいちめん」を根拠にした先の意見は、1の問題を論じていない。つまり、非論理的な意見なのである。それを指摘できる授業でなければ、論理的思考を高めることはできない。
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